シリーズ 「更生保護」って何だろう?

「BBS」って何だろう? ともに考え、歩んでいく。「BBS」という関わり方。

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見守りながら耳を澄ませる

ふうか これまで何人くらいの子たちと関わってこられたんですか?
高坂さん BBSの「ともだち活動」を通じて関わったのは、たぶん10人とちょっとくらいだと思います。
ふうか どのくらいの期間、受け持たれるのでしょうか?
高坂さん いろいろですね。いちばん長いつきあいの子とは、5年近く現在進行形で関わっています。あるいは保護観察期間が過ぎて終了する場合もありますし。
ふうか 自分で「この子を受け持ちたい」と立候補することもあるんですか?
高坂さん 基本的には、まず保護観察所からBBSに「こういう少年がいるんですが、受け持ってもらえませんか?」という連絡があって、それからBBSの各地区会と情報を共有しながら他のメンバーにも聞いて、手を挙げる会員がいれば、その人に担当してもらうような形になっています。

ゆうか BBSの活動で苦労されたことなどはありますか?
高坂さん いや、無いですね。少年たちが起こしてきた事件・事案は多少荒っぽいこともありますが、BBS活動で反抗されたようなことも無いですし、他の会員を困らせたりするようなことも皆無ですね。
先ほども「びっくりするくらい普通の子です」というお話がありましたが、保護司さんもよくそうおっしゃいますよね。
高坂さん ええ。BBSの活動自体に強制力は無いので、呼びかけに応えて参加してくれる子というのは、その時点でもう気持ちがいい方向に向いてるんですね。逆にBBSの活動にも来なくて僕らが関わりを持っていない少年なんかは、まだ大人や社会をまったく信用していなくて、荒っぽいことをしちゃうことがあるのかもしれません。
ゆうか こちら側に向いてくれる子と、そうではない子の違いは何でしょうか?
高坂さん 僕自身の経験から言えば、非行グループ、たとえば暴走族とかギャングに入ったりしていると、メンバーや先輩だけが心から信用できる人だって思い込んじゃうんです。それ以外の人たちっていうのは、大人も同世代もほぼ「敵」のように見てしまう。俺たちとは違う世界の人たちだし、そんな連中とは関わりたくない、なんて考えてしまう時期が昔の僕にもありました。

ゆうか そういった見方が変わることがあるのでしょうか?
高坂さん 変わります。僕の場合は、自分で立ち直ろうと決心してからは、それまでとは逆に普通の人たちと関わりたい、という風に気持ちが変わっていきましたね。でも、どうやって関わっていったらいいのか、それが分からなかった。なので、BBSの活動を通じてその最初のきっかけを仲立ちしていけたらいいな、と考えているんです。
ゆうか タイミングの問題でもありそうですね。
高坂さん 本人がまだ非行グループの人間しか信用できないような時期だと、BBSの催しに「おいでよ」なんて誘われても、なかなか行けないですよね。でも少し時間が経つと、これまでとは違う人間関係を作っていきたい、外の世界ともつながりを持ちたい、といった考えが芽生える時がくるはずなんです。

自分もそろそろ変わらなければいけないんじゃないか、とか。そういった兆しと外からの働きかけのタイミングがうまく合えば、いい方向にすっとシフトしていってくれるんじゃないかと思うんですが。
ゆうか 本人の中で考え方が変わっていく?
高坂さん そうですね。みんな変わっていくと思います。それと、僕は24歳までずっと悪いことをしてきて立ち直りが遅かった分、まわりの人にもずいぶん迷惑をかけたし、自分でも生きなおしていくのが大変だったんですね。なので、信じて待つという気持ちも大切にはしているんですが、もう少しぐっと踏み込んで「もうちょっと早く立ち直った方がいいよ」ということは伝えていきたいなと。一日でも早く立ち直りをスタートしていった方が、絶対にいいということは経験からも分かっているので。

ふうか そのために気をつけていることはありますか?
高坂さん たとえば「仕事したい」という言葉が出てきたら、本人が希望している仕事を一緒に探してあげたりとか。「じつは高卒の資格を取りたいんですよ」なんてチラッとでも言ってくれたら、すぐに「じゃあ通信制の高校を探すから」って情報を集めてきたり。ちょっとでもいいサインが出たら、それを絶対に見逃さないように。せっかくの気持ちが途切れないよう、できるだけ具体的に次につなげていくようにしています。
ゆうか お話を伺っていると、高坂さんご自身の経験が活きているような気がしますね。
高坂さん 自分自身に非行体験があることは、BBSの活動においてはメリットとデメリットがあると考えているんです。メリットとしては、少年たちに入っていきやすいということはありますね。僕は自分の過去についていっさい隠さないので。暴走族にも入っていた、鑑別所や少年院にも入っていた、保護司さんの面接にも、当時はあんまり行けてなかったんだよね、とか。そうすると少年たちも「そうなんですね」って打ち解けてくれるし。1ヶ月で仕事を辞めちゃったりしても、「俺なんて3日で辞めたことあるよ。1ヶ月も続いたんだ、すごいね」とか(笑)。まあそういう部分では話が合うんです。最初の入口は入っていきやすいので、そこから徐々に関係を作っていって、だんだんと他のBBS会員の人も巻き込んでいくようにしています。

ゆうか たしかに、親近感は持ってもらえそうですね。
高坂さん でも、いいことばかりじゃなくて、デメリットもあるんじゃないかと。立ち直っていくと、社会の中で普通の暮らしを送っていくわけですよね。そうすると、僕のように鑑別所や少年院のことが「わかる、わかる」なんて人間と出会うことなんて、そうそう無いと思うんです。同じような経験があるから心が許せるという部分はたしかにあるけど、それだけでは本人が立ち直っていくうえでは厳しい。なので、僕だけがフロントに立つのではなく、できるだけ他のBBS会員の大学生とか社会人ともつながってもらうように心がけています。

最初のとっかかりができたら、次は「あの人も信用できる人だよ」って関わる人を増やしていくような。誰か一人だけじゃなくて、みんなで一緒に向き合っていく環境づくりをしていかないといけないんですよね。
ふうか なるほど。そのつながりの広さがBBSの特徴でもありますよね。
高坂さん そうなんです。BBSの良さっていうのは「非行少年といい友だちになる」という理念を掲げているところにあると思うんです。BBS会員と少年たちとの年齢が近いので、本当に身近に接することができる。それと、みんな仕事でやっているわけではないので「自分たちが絶対に更生させなくては」といった思い込みもない。自然とフランクな関係を築こうとしてくれるからだと思うんですが、少年たちもわりと素直に受け入れているところがあるんですよね。

やっばり彼らも強制的だったり、上から目線で何かを言われるのは嫌がるんです。だけど、BBSの人たちは心の部分から、しかもボランティアで関わってくれるので、やはりそういった気持ちが少年たちにうまく伝わるのか、自然と会話できるし、長い目で見てもいい影響を与えていると思います。

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BBS会員 高坂朝人さん

自身の経験を元に、ボランティアとして少年院出院者たちの支援活動を続けている。NPO法人 再非行防止サポートセンター愛知理事長。愛知県BBS連盟運営委員。

ゆうか(BBS会員)

ふうか(BBS会員)

BBS会とは?
BBS(Big Brothers and Sisters Movementの略)会は、さまざまな問題を抱える少年と、兄や姉のような身近な存在として接しながら、少年が自分自身で問題を解決したり、健全に成長していくのを支援する青年ボランティア団体です。児童福祉施設における学習支援活動や児童館における子どもとのふれあい行事なども実施しています。