シリーズ 「更生保護」って何だろう?

「更生保護女性会」何だろう? 地域に根ざし、人と人をつなげていく。

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更生保護を地域で支えるために

ゆうか こんにちは。本日は更生保護女性会についてのお話を伺いにお邪魔しました。
野中さん よろしくお願いします。
「更生保護女性会」って言われても、何をしている団体か分からないですよね。なんだか漠然としてません?
ふうか はい。じつは具体的なことはあまり…
野中さん そうですよね。一般の人たちにはまだまだ知られていないんですよ。
ゆうか どのような経緯で誕生したのでしょうか?
野中さん 私たち吉川地区の更生保護女性会は、昭和53年に「更生保護婦人会」として発足しました。当時の吉川地区保護司会会長から「更生保護婦人会も必要だから、ぜひおつくりなさい」とご指導いただいて、そのとき民生委員を務めていた女性18名で結成されたのが始まりです。地域の方々のご協力もあって翌年には会員数も62名に増え、現在では72名のボランティア組織として活動しています。

ふうか 吉川さんはいつ頃から会員なのですか?
野中さん 私は創立時からのメンバーなので、かれこれ37年になりますね。9年前から会長を務めさせていただいています。
ふうか そんなに長く!?
野中さん はい。でもね、最初の頃は募金をする団体だとばかり思ってたの(笑) 何をしている会なのか、本当に分かってたのは入会して数年経ってからなんです。
ゆうか それでは、更生保護女性会の活動について教えていただけますか?
野中さん 私たちは毎年7月、“社会を明るくする運動”の強調月間に「愛の募金活動」を実施しています。地域ごとに会員が巡回して募金を募り、各自治会からの寄付もお預かりしています。この募金は、更生保護施設や保護観察対象者への支援をはじめ、更生保護についての理解を広げるための講演会や研修、地域のつながりを深めるための活動などに役立てられています。
ふうか ずいぶん幅広く活動してらっしゃるんですね。
野中さん そうですね。でも、先ほどもふれたように更生保護女性会って世間からの認知はまだまだなんですね。ところが幸いなことに、吉川地区は平成26年度に「地域との連携」指定を受けたんです。この指定を受け、吉川地区では「ミニ集会」に力を入れています。ミニ集会は子育ての悩みや地域の相談事などを気軽に話せる井戸端会議みたいなもので、そこで私たちのことや更生保護について説明したチラシを作ってみなさんにお配りしているんです。

ふうか このチラシはとても分かりやすいです。
野中さん ありがとうございます。
一目見て「ああ、こういう活動をしているんだな」って分かるよう簡潔にまとめてあります。「今年は更生保護女性会のPRをしていこう」と決めて、ミニ集会をはじめ自治会などにお邪魔する機会があれば、このチラシをお持ちして丁寧にご説明するようにしてるんです。私たちは市民のみなさまからの募金で活動している団体ですから、その主旨と内容を理解していただくことがなによりも大事なんですね。
ふうか 素晴らしい試みだと思います。
更生保護の取り組みと直結した活動にはどのようなものがありますか?
野中さん 矯正施設での活動や更生保護施設「清心寮(さいたま市)」への訪問などを実施しています。また、保護司会や民生委員児童委員協議会とも連携して合同研修会なども開催しています。
ゆうか 罪を犯した人と直接関わるような活動もあるのですか?
野中さん 埼玉県の更生保護女性会は、県内にある「川越少年刑務所」、「さいたま拘置支所」、「熊谷拘置支所」への支援を行っています。私たち吉川地区では、年に一回、さいたま拘置支所で行われている「お誕生日会」に伺っています。お花を持っていって、入所している方と30分くらいお話しをするんです。
ゆうか どんなお話をするんですか?
野中さん 拘置支所のご担当者からは「近所のおばさんとして話してください」と言われているので、ごく普通の世間話みたいなものですね。
「ここを出たらどんなことをしたいの?」とかを聞いたり。でもね、そうやって1対1で会話してると、「どうして悪いことをしなきゃいけなかったんだろう」って不思議になるくらい、みんな普通なんです。

ゆうか 普通に話してくれるんですか?
野中さん 嬉しそうに。たくさんしゃべってくれますよ。いろんな夢を語ってくれたり。僕はこんなことがしたいんだとか、おじいちゃん、おばあちゃんのことだとかね。なかには寡黙な人もいますけど、でも全体的には明るいですね。とくに目つきが鋭いわけでもないし、ごく普通の若者です。笑うとかわいいしね、私たちから見ると(笑)だからね、なんとか地域に受け入れられて、まっとうに生活していってほしいなあって心から思うんです。
ふうか そのほかの支援活動にはどんなものがあるのでしょうか?
野中さん 刑務所を出所した方や保護観察を終了した方に記念品を差し上げています。
男性には靴下。女性にはストッキング。それを私たちで用意して、保護司の方が「更生保護女性会からですよ」って渡してくださるの。私たちは直接その方たちとお会いしませんけど、何か伝えられたらいいなと思って、数年前から更生保護女性会のしおりを入れてるんです。「おかえりなさい。支援してますよ」ってメッセージを添えて、包みのところに挟んで。ただ渡されるよりも、「ああ、支援してくれる人もいるんだなあ」って思ってもらえればいいかなって。

ふうか 応援してくれている人がいるって分かるだけでも心強いですよね。
野中さん こちら側のひとりよがりかもしれませんけどね。
でもまあ、十伝えたつもりで相手には一しか伝わらなかったとしても、伝わらないよりはいいかなって思ってるんです。意思表示も大事ですよね。それに文章だと残りますもんね。

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更生保護女性会 野中八重さん

野中八重さん
(吉川地区更生保護女性会会長 ※取材当時)
更生保護女性会員。下町で生まれ育った経験から,PTA活動や民生委員・児童委員(現職)を経て,昭和53年から吉川地区で更生保護婦人(女性)会活動を開始。平成18年からは地区会長として,地域の架け橋となるような活動を展開。平成27年に会長を退任し,顧問となるも,現在も長年の活動経験を生かし,地域とつながる活動に従事している。

聞き手 ゆうか(BBS会員)

ゆうか(BBS会員)
大学3年生。大学のサークルでBBS会の活動に参加。学習ボランティアとして少年たちに勉強を教えたり、ともだち活動などを行っている。

聞き手 ふうか(BBS会員)

ふうか(BBS会員)
大学2年生。BBS会には1年前から所属しているが、活動への積極的な参加は今年から。現在、更生保護について勉強中。
更生保護女性会とは?
女性としての立場から、地域の犯罪防止および青少年の非行防止と、犯罪や非行をした人たちの更生を支援するボランティア活動。更生保護施設へのサポート活動、子育て支援など、幅広い活動を地域において実施しています。全国に約1,300の地区会があり、約18万5千名の会員が活躍しています。
吉川地区 更生保護女性会
昭和53年「吉川地区更生保護婦人会」として結成され、平成17年に「吉川地区更生保護女性会」と改称されました。会員数72名(平成27年時)。さいたま保護観察所や地域の保護司会、民生委員児童委員協議会と連携し、罪を犯した人や非行に走った少年が反省し、地域の中で一人の社会人として生きていけるようにサポートしています。

また、「愛の募金活動」による更生保護施設への助成、保護観察対象者などへの支援、更生保護への理解を深めるための講演会・研修の実施、「愛の図書費」「ミニ集会」「子育て支援」といった独自の活動も活発に行っています。