シリーズ 「更生保護」って何だろう?

「保護司」に会いにいく 第2回 うれしさが光になって、そのかたまりが支えてくれる。

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環境に問題がある場合も少なくない

ゆうか 中澤さんは少年を受け持たれることが多いとのことですが、
何か共通して感じることはありますか?
中澤さん 環境に問題があって、保護観察になってしまった子はいっぱいいますね。
その子だけの問題じゃなくて。
親に原因があって、子どもの自立を妨げてる場合もある。
やっぱり親の考え方や家庭環境からの影響は大きいですね。
ゆうか 根が深そうですね。
中澤さん もうずいぶん前ですけど、大きな荷物を持って泣きながらうちに来た子もいましたよ。
もう自分の家にいられないって。

ふうか 家出してきたんですか?
中澤さん そう。親の方が自分の意にそぐわないもんだから、
縁を切りたい、引き取りたくないってなっちゃったのね。
でもね、まだ10代で本当に悪い子ってわけじゃないのよ、多少はワルでもね。
ふうか もう帰る場所が無いってことですよね。/td>
中澤さん かわいそうにね。
そのときだけは「ああ、うちがもう少し広い家だったらなあ」と思いましたね。
部屋があったら泊めてあげられるのに。
しばらく引き取ってあげられる。更生保護施設みたいにね。
しばらくうちで預かって面倒みたりできればよかったのになあ…って。

ゆうか それは辛いですね。
中澤さん 関わった子どもはみんな、どうにかして守ってあげたいな、と思うんですけどね…。

でもね、数年経ってから、その子の結婚式に呼ばれたんですよ。
家を出てから自立して恋人もできて。
式には友達がたくさん集まってて、パーティみたいになっててね。
それを見て、やっと安心しました。

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結果が出たときの喜びが原動力になる

ふうか お話を伺ってると、本当にいろんな出来事があって、
大変そうだなあと思ってしまうんですが。
中澤さん おまけに無給だしね(笑) 時間も取られるし、
お腹すかせてて家に帰っても食べるものなんか無いって子もいるから、
なんか作って食べさせてあげたりね。
ゆうか 普通の人にはできなそうですね。

中澤さん そんなことはないですよ。
人と関わることが好きな人なら保護司はできると思います。
そこがスタートですから。

だけど、見返りを求めちゃダメなのよね。
「これだけやってあげたのに、これだけ時間を割いて、
あんなにお話をしたのに、何にも応えてくれない」だと厳しくなっちゃいますね、
保護司として。
あの時間は無駄だった、みたいになっちゃうから。
ゆうか すぐに答えが出るものではないんですね。
中澤さん だから、話したら喜んでくれた、とかさ。
ささいなことを支えにしていかないと。
あとは、そのときじゃなく、後になって結果が出てきたときにね。
あ、良かったんだな、とか、役に立ったんだな、と思えれば。
それで良しとしないとね。
ふうか それが原動力になるんですね。
中澤さん そういうことですね。
答えはなかなか見つからない。
その子にとって何が正解なのかなんて、すぐには分かんないですよ。
分かんないけど、じかに会って、
いろんな話の中から彼ら自身が何か見つけてくれればいいな、と思うんです。

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保護司 中澤照子さん(保護司)

中澤照子さん(保護司)
平成10年に保護司を委嘱され、以来、江東区の保護司として多くの保護観察対象者を受け持ちながら、清掃活動や小学校での読み聞かせなどの地域活動にも積極的に参加している。

聞き手 ゆうか(BBS会員)

ゆうか(BBS会員)
大学3年生。大学のサークルでBBS会の活動に参加。学習ボランティアとして少年たちに勉強を教えたり、ともだち活動などを行っている。

聞き手 ふうか(BBS会員)

ふうか(BBS会員)
大学2年生。BBS会には1年前から所属しているが、活動への積極的な参加は今年から。現在、更生保護について勉強中。
保護司とは?
犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティア。法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされていますが、給与は支給されません。保護観察官と協力して保護観察に当たるほか、犯罪や非行をした人が刑事施設や少年院から社会復帰を果たしたとき、スムーズに社会生活を営めるよう、住居や就業先などの環境の調整や相談を行っています。現在、全国で約4万8,000人の保護司が活動しています。
BBS会とは?
BBS(Big Brothers and Sisters Movementの略)会は、さまざまな問題を抱える少年と、兄や姉のような身近な存在として接しながら、少年が自分自身で問題を解決したり、健全に成長していくのを支援する青年ボランティア団体です。児童福祉施設における学習支援活動や児童館における子どもとのふれあい行事なども実施しています。