シリーズ 「更生保護」って何だろう?

「更生保護施設」に行ってみる 第1回 心のケアを通じて人間性の回復をめざす。

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仕事に就くことが社会復帰への第一歩。

ゆうか みなさん働かれているんですね。
小畑さん ええ。
両全会の特色のひとつに、寮生全員の就労をめざしていることがあります。
幸い立地環境も都心へのアクセスがよく、
仕事を見つけやすいということもあるのですが、
ほとんどの人が入寮後に仕事に就くことができていますね。
ゆうか どんな仕事に就かれているのですか?

小畑さん 掃除スタッフ、調理補助、ホールスタッフ、
コンビニ・店舗での販売業務などが多いですね。
ハローワークや求人情報誌などで仕事を探して、
就労できるまで職員もいっしょになって支えています。
ふうか なぜ就労に力を入れているのですか?
小畑さん まずは、社会での自立をめざすためです。
住む場所と仕事のふたつは、社会復帰への基盤となりますから。

それと、当施設への滞在期間は平均4カ月半です。
その間に仕事を探して働くことで、
30万円の貯金をすることを目標にしています。
これは、退寮後の住まいと仕事の確保にもつながっています。

ふうか なるほど。社会に戻るための準備期間でもあるんですね。
小畑さん それだけでなく、退寮後の職業選択の幅をさらに広げるために
「パソコン教室」も開催しています。
これは週に一回、民間ボランティアの講師をお招きしてワードや
エクセルを学ぶ本格的なもので、希望者全員が受講できるようになっています。
ゆうか 希望すれば全員が受けられるのですか?
小畑さん そうです。全員分のノートパソコンが用意されているので、
希望すれば1台ずつ貸し出せるようになっています。
もちろん、ふだんから自室での自習用として使うこともできます。

このパソコン教室は非常に人気があって、みんな熱心に受講していますよ。
きちんと勉強すれば、退寮までにワードやエクセルをひと通り使えるようになりますね。

ゆうか それは素晴らしいですね。
小畑さん まずは就労して貯金をする。
そしてパソコン教室で習得したスキルを活かすことで、
社会に戻ってからの職業選択の自由が少しでも広がってくれればいい。
そういった考え方に基づいた取り組みです。

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両全会理事長 小畑輝海さん(両全会 理事長)

小畑輝海さん
(両全会 理事長)
更生保護法人 両全会理事長。保護司・篤志面接委員。平成19年より両全会理事長を務め、長期的なケアをめざす自立準備ホーム「ホームみどり」や、薬物離脱のための認知行動療法プログラムを取り入れた「ローズカフェ」プロジェクトなど、画期的な取り組みを展開している。

聞き手 ゆうか(BBS会員)

ゆうか(BBS会員)
大学3年生。大学のサークルでBBS会の活動に参加。学習ボランティアとして少年たちに勉強を教えたり、ともだち活動などを行っている。

聞き手 ふうか(BBS会員)

ふうか(BBS会員)
大学2年生。BBS会には1年前から所属しているが、活動への積極的な参加は今年から。現在、更生保護について勉強中。
更生保護施設とは?
刑務所や少年院を出た人の中には、生活環境に恵まれなかったり、本人に社会生活上の問題があるなどの理由で、すぐに自立更生ができない人がいます。こうした人たちを一定の期間保護し、その円滑な社会復帰を助け、再犯を防止する役割を担っているのが更生保護施設です。更生保護施設は、宿泊場所や食事を提供するとともに、更生を果たすために必要な指導や援助を行い、入所者の自立と再出発を支えています。
更生保護施設 両全会
1917年、市ヶ谷刑務所の教誨師であった藤井恵照により創設。現在の定員は女子20名(成人17名・少年3名)。女性のための更生保護施設として、「パソコン教室」「リハビリメイク教室」などの先進的な教育・処遇を導入。2011年、自立準備ホーム「ホームみどり」を開設。2012年には、薬物依存者の再犯防止と自立による社会復帰を目的として「ローズカフェ」プロジェクトを開始した。
BBS会とは?
BBS(Big Brothers and Sisters Movementの略)会は、さまざまな問題を抱える少年と、兄や姉のような身近な存在として接しながら、少年が自分自身で問題を解決したり、健全に成長していくのを支援する青年ボランティア団体です。児童福祉施設における学習支援活動や児童館における子どもとのふれあい行事なども実施しています。